子どもたちの成長に寄り添い続けて

公開日 2026年04月08日

吉田 真希さん

村の子どもたちの成長を温かく、力強く見守り続けている吉田真希さん。保育士として働く傍ら、地域の陸上クラブ、徳島駅伝・名東郡チームのサポートにも携わっている。どのような想いで子どもたちと関わり続けているのか。その根底にある深い愛情と情熱を聞いた。

 

保育の道30年

佐那河内村で生まれ育った吉田さんは3姉妹の長女として育ち、幼い頃から子どもが好きだったという。地元の大学を卒業した後は、県内の保育所や幼稚園で経験を積んできた。

現在勤務する佐那河内保育所には、13年前に再び赴任した。一度目の在籍時に担任していた子どもたちが大人になり、今では父や母となって、自分の子どもを保育所に預けに来ているという。
「昔、担任しよった子が親になって、その子どもをまた私が見よるんよ」。
そう話す吉田さんの表情は、どこか誇らしげ。二世代にわたって子どもたちの成長に関われることも、この仕事を続けてきたからこそ感じられる喜びの一つだという。

 

村の保育の良さ

佐那河内の保育の魅力は、何よりも豊かな自然環境にある。保育所では「今日は天気がいいから外に行こう」と先生の提案で、園外へ散歩に出かけることも多い。
「市内だったら交通量も多いけん、散歩に行ってもなかなか前に進めんのよ。でも佐那河内だったら車も少ないし、0.1歳児クラスの小さな子どもたちでも2キロくらい歩くんよ。佐那河内の子どもたちは体力があると感じるんも、そういう環境のおかげだと思う」。

また散歩中は、目にするもの、聞こえるもの、香るものなど、自然のすべてを五感で感じながら歩くことができる。
 「散歩の途中で、一度だけカッコウの鳴き声を聞いたことがあって。あれはほんまにびっくりした」と笑う。
 

切れ目なく子どもたちを見守りたい

吉田さんにとって大きな喜びの一つは、佐那河内だからこそ生まれる“長期的な関わり”。保育の仕事に加え、亡き父・石本善之さんが1986年に創設した小学生対象の陸上クラブや、徳島駅伝・名東郡チームのサポートも続けている。石本さんが亡くなる前に託した想いを受け継ぎ、現在はともに指導にあたる藤本忠さんや、バレーボールチームを率いる森由紀子さんらとともに、地域の子どもたちを見守っている。
「小さい頃から見よった子が、立派になっていっているのを見ると、うれしくて。成長を見守れるのも楽しいし、やりがいになってるかな」。

そう話しながら、石本さんが残した何冊にもなるノートを持ってきてくれた。
「陸上は人それぞれ速い遅いはどうしてもある。でも父がよく言ったのは、個人競技だからこそ人と比べるんじゃなくて、その子がどれだけ成長したかを見るべきなんよって。私もその考え方が好きで」。
その言葉の通り、石本さんのノートにはクラブ創設当初からの部員一人ひとりの練習記録が丁寧に残されていた。
吉田さんも子どもたちのタイムが上がったときや、走るフォームが良くなったときには、すぐに声をかける。多感な時期の子どもたちが自信を持てるよう、さりげなく背中を押す。
休日の時間を使いながら、自分の子どもだけでなく“地域の子どもたち”の成長を楽しみに支え続ける姿は、かつて情熱を持って陸上クラブを率いた父の想いを、確かに受け継いでいる。