ありのままの村を写す

公開日 2026年03月26日

山川 明訓(あきのり)さん

佐那河内村の日常をホームページの「村の日々」というページにて写真と文章で記録し続けている山川さん。フォトグラファー・WEBデザイナー・映像クリエイターとして活動している。阿南市羽ノ浦町で生まれ、約10年前に東京から佐那河内村へ移住。これまでに佐那河内村のプロモーション動画やホームページの制作なども手がけている。

 

スケートボードに熱中する少年時代

山川さんの原点は、10代の頃に夢中になったスケートボード。「他の人と違うことがしたいと思っていたのかもしれませんね」と当時を振り返る。技を一つひとつ練習しながら、自分なりのスタイルを追求する日々。「誰かと競うというより、自分との戦いのようなところがあって、それが性に合っていたのだと思います」。

山川さんが代表を務める「ノーリープロダクション/ノリプロ株式会社」の名前も、スケートボードの技「ノーリー」に由来する。板を前足で蹴って飛び上がる技で、「前へ前へと進む」というポジティブな意味を重ねて名付けられた。
 

映像とクリエイティブの道へ

現在の映像制作の道へ進むきっかけも、スケートボードだった。「ある日見たスケートボードのムービーに感動したんです。フィルムカメラで撮られた映像で、画のきれいさや奥行きのある映像美に惹かれました」。その影響もあり、中学生の頃から自分でスケートボードの映像を撮影し、パソコンで編集するようになったという。
カナダの大学を卒業した後は一度徳島へ戻り、「徳島マルシェ」の取材を手伝う機会があった。自分の目線で写真を撮り、文章を書く。その経験が楽しかったという。そして東京へ渡り、渋谷区の制作会社で約4年間、映像やウェブ制作の仕事に携わった。

佐那河内村への移住と仕事

やがて独立を考えるようになり、拠点となる場所を探していた。その候補の一つが佐那河内村だった。
「役場の方々にサポートしてもらったこともあり、ほどよい自然の中で暮らしながら、県内各地へのアクセスも良いところに魅力を感じて移住を決めました」。移住して間もない頃は、カメラを片手に村を歩き回り、農家さんを紹介してもらいながら風景や暮らしを記録していったという。
消防団や神楽保存会にも参加し、地域の人たちとのつながりが少しずつ広がっていった。その後、村のプロモーション動画の制作やホームページのリニューアル、一部の印刷物など、村に関わるさまざまな仕事を手がけてきた。
現在もサイトの更新業務に加え、村の日常を切り取る「村の日々」の撮影と執筆を続けている。四季の移ろいがもたらす恵みや、静かに佇む石垣の風景⋯など山川さんの視点を通して切り取られた佐那河内には、ありのままの美しさが映し出されている。

 

自分の視点で記録する場所

一方で、山川さん自身は自分の感性を過信しない姿勢を大切にしているという。「自分のものを押し出そうとすると、かえって良くならないこともあると思っています」。
そのため制作では、依頼者との対話を重ねながら求められているイメージや好みのテイストを丁寧に聞き取る。相手に寄り添いながら形にしていくことが、山川さんの仕事のスタイルだ。
一方で、個人としての創作活動の場も持っている。それが『地のものメディア』というウェブサイトとYouTubeチャンネル。山川さんが気になった人や物事を取材し、写真や文章、映像として記録する個人的なライフワークだ。そこでは自分の感性や興味を反映させながら、地域の魅力や人の営みを丁寧に残している。
このメディアでも村の人や物事を取り上げてきた。山川さんは、村に来た当初から変わらず感じている魅力があるという。
それは、飾ろうとしていない「そのままの農村」であること。
外から企業を呼び込み新しいビジネスモデルを生み出して発展してきた神山町とは対照的に、佐那河内村には「良くも悪くも、そのままの田舎」の姿が残っているという。山川さんは、その飾らない風景や暮らしにこそ、この村の魅力があると感じている。