『佐那河内の古民家から生まれる、手作りの温もり - 津田かおるさんの暮らし』

公開日 2025年03月31日


「自然の中での暮らしへの憧れ」

自然豊かな佐那河内村で、自家製調味料のワークショップ、グルテンフリーマフィンの販売、そして古民家のゲストハウスを運営されている津田かおるさん(44)に、その暮らしぶりを伺いました。

徳島市で生まれ、大学時代から関西圏で過ごした津田さんは、2人のお子さんと共にUターンし、1年前から佐那河内村での生活をスタートさせました。

 

「ずっと食べることが大好きだった」と語る津田さんが、本格的に食材選びや調味料の手作りにこだわるようになったのは、お子さんの誕生がきっかけでした。同時に、自然の中での暮らしへの憧れも芽生え、森の中で料理を振る舞う仕事と佐那河内村という居住地との出会いが、その想いを後押ししました。

 

津田さんはご自身のことを「フットワークが軽い」と表現されますが、その言葉通り、インスピレーションに従い、目の前の機会をしっかりと掴み取る柔軟性、決断力、そして行動力は、誰もが真似できるものではありません。

 

佐那河内村では、毎月開催される「常会」と呼ばれる集落ごとの自治会や、餅つき、お祭りなど、子どもから高齢者までが参加する行事が数多く残っており、阿波踊りを踊る姿も印象的だったそうです。

お子さんたちは、夏は川で泳いだり、庭で育てている鶏のお世話や、舗装されていない道を歩いて楽しんでいるそうです。

 

「身体に優しいをマイペースに求めて」

自家製調味料作りは、赤ちゃん連れでも参加できる味噌作りのワークショップで、半年後に食べた手作り味噌の美味しさに感動したことがきっかけでした。今では、自家製味噌、醤油、麹のワークショップを主催するほどです。参加者の多くは村外から訪れ、豊かな自然の中で作る、手間暇かけた食材へのニーズの高さを物語っています。

ご自身が運営する古民家ゲストハウス「青家」さんでも、その調味料やこだわりの食材を使った食事が楽しめます。繊細な彩りや盛り付けは、さぞかし修練を積まれたものと思いきや、「全て自己流でお野菜そのものの色に助けられてる」と謙虚に語ります。小鉢に少しずつ分けられた食事は、手間もかかるはずですが、「好きだからやってる」と笑顔で答える姿が印象的でした。

自家製調味料と並んで力を入れているのが、グルテンフリーのマフィンです。その製法は、一般的なマフィンのイメージを覆すものでした。

県内の生産者を中心に仕入れた無農薬の玄米を生のままペースト状にし、糠層の栄養もそのまま閉じ込め、甘味には白砂糖ではなくメープルシロップを使用するなど、素材と製法にこだわり抜かれています。玄米食が苦手な方や、小麦アレルギーの方にも、美味しさと健康を届けられる画期的なアイデアです。

 

「繋がる優しい」

 

「自分も楽しく、身体に優しい食べ物が広がっとていったらいいなぁ」と語る津田さん。その温かい人柄と、愛情のこもった料理に惹かれ、再び会いに来る人も少なくないでしょう。その活動の根底には、「体に優しい食を知った子どもたちが大人になった時、オーガニック市場が普及し、食を楽しむ私にとっても、環境にとっても嬉しい」という願いがあります。

そんな津田さんは、これから畑を始め、自給自足にも挑戦したいそうです。佐那河内の豊かな自然に後押しされ、さらに輝きを増していく津田さんの今後の活動から、目が離せません。