公開日 2025年02月19日
旧暦の正月を迎え、寒さも本格的なある晴れた日、佐那河内村の秘境、天岩戸別神社へ参拝に訪れました。
車を走らせ、岩肌の舗装路から山道に入ると、静寂と厳かな空気に包まれます。道中では、ピィーピィーという鳴き声のほか、普段聞き慣れない4種類の鳥の鳴き声が聞こえてきました。
春には可愛らしい花を咲かせ、和紙の原料となるミツマタの蕾を横目に、苔むした階段を上ると、木造の鳥居と素朴な佇まいの拝殿が現れます。周囲を囲むのは、両手で抱えきれないほどの巨杉。創建の年月は不明とされていますが、この巨杉は気が遠くなる年月、静かに周囲を見守ってきたのでしょう。
人の手が加えられた木々と原生林のようなワイルドさが共存する小道を奥に進むと、手力男神の塚と呼ばれる磐座を拝むことができます。日常では無意識に電磁波や音に晒され続けているのに対し、山の中はあまりの静寂で、枝が折れる音や葉っぱが擦れ合う音が鮮明に聞こえます。神経が研ぎ澄まされ、そして身が引き締まるような感覚を覚えました。日々の喧騒を離れ、静寂の中で自分自身と向き合う時間。天岩戸別神社での参拝は、時代を超えて多くの人々の心身を清める、身近にある貴重な場所だと実感しました。