公開日 2024年10月04日
地域おこし協力隊の中村です。
久しぶりの更新となります。10月に入り、佐那河内村の朝晩もかなり涼しくなって過ごしやすくなってきました。9月も暑かったのですが、秋雨前線の影響もあり、この1週間で季節が一気に進んだ気がします。季節の変わり目は体調を崩しやすいので、より一層の注意が必要です。
今年の夏も相変わらず暑かった
暑い日ばかりで気が滅入りそうでしたが、皆様はどうでしたか?村内でもほぼ毎日熱中症警戒アラートが発令され、35℃を超える猛暑日が頻発しました。朝5時くらいのまだ涼しい時間帯に犬の散歩をしていましたが、それでも衣服の中はすぐに汗だくです。
5月にハウスの中を片付け、その後は太陽熱消毒を実施
土壌中の病原菌やウイルスを死滅させるため、篤農家では畝に株の残渣や肥料を混ぜ込み、水でびちゃびちゃにした状態でビニールで密閉し、ハウスを閉め切ってハウス内を高温にする太陽熱消毒という手法を用いています。
ハウス内を高温にすることで微生物分解を活発化させ、発酵熱で土壌温度を40℃以上まで上昇させます。その際、ハウス内の温度は実に60~70℃にまで達します。高温の部屋と言えば、皆さんサウナを連想すると思われますがあちらも80~100℃に達しているものの室内は乾燥しているので我慢できますよね。ハウス内は湿度も90%以上と非常に高く、湿気と高温が肌に一気にまとわりついてきます。サウナのロウリュというのをご存知の方はイメージがつくかもしれませんね。そんな中での作業は到底無理です。
夏もすくすく苗が生長
親株からランナーがのびて子株が次々とできていきますが、ある程度の大きさに育つとピンでポットに固定して根を活着させます。
ピン固定するのが早すぎてもうまく活着せず、タイミングが重要です。
↑この状態では活着がスムーズにいかず、新しい根が出る必要があります。
狙った数の苗がとれたら親株を切り離し、その後に子株も切り離す
ランナーがつながっているとイチゴの苗は相互に水や栄養のやり取りをしています。親株と繋がっている状態では基本的に親株のみに肥料を与えており、芋づる式に栄養が子株へと行き渡ります。親株を切り離すと子株達だけで生長しなくてはなりません。子株同士での水のやり取りはありますが、そもそも根がしっかりと活着していないと水もろくに吸えず、すぐに弱ってしまいます。
↑親株を切り離した後は親株の整理を行います。
↑ここまで根がとびでていると安心できますね!
9月17日に株冷、9月27日に平地苗を定植
苗も順調に生長して定植を迎えることができました。
ハウスはこの夏の陽気で太陽熱消毒も完了し、残渣もほとんど消失しています。定植前には土壌中の酸素を増加させる粒剤、根の活着を促進する肥、アブラムシに対する農薬を適正に使用します。定植穴をあける道具を今年は用いましたが、非常にスムーズに実施できました。
定植後はスムーズな活着を促すため、しっかりと水をあげて根を伸ばしていきます。
年度末からは自分で育苗を開始する
篤農家での定植は終わりましたが、今年度末からは自分で苗をつくる必要があります。今回、篤農家では育苗に2種類のポットを使用しました。以前は黒いポリポットを使用していましたが、黒は熱を吸収するため培地温度が上がりやすく、昨今の暑さでは根傷みの原因になりやすい状態です。そこで今回は白いポリポットと新聞・古紙をリサイクルして作られた紙ポットを使用しました。白は光を反射して温度上昇を防ぎ、紙ポットはポット表面から水分の蒸発により培地温度を下げる働きがあり両者を検証です。
注目の生長具合はどうなのか?
白ポットのほうは光は反射しているのでしょうが透過性もあるため、コケが大量に繁茂しています。これは培地温が上昇する黒ポットでは起こらなかったので、白さによる影響でしょう。根も細いですね。コケの繁茂のため、そちらに栄養も吸われてしまっていることも考えられます。
反面、紙ポットは根も太く、非常にキレイな状態です。また、ポット内容量が小さいため、培土量はポリポットに比べて2割程度少なく済むそうです。また、蒸発によって培地温度が低く維持出来るため、花芽分化の促進にも一役買っています。しかし、紙ポットは蒸発により乾きやすいため灌水頻度や量に注意が必要です。
紙ポットはそのまま定植してもその後土壌に分解されるみたいですが、今回は紙ポットの株の立ち上げ速度を比較するために全剥がしと一部剥がしでわけて定植しました。普通に考えると直接根が土壌に触れるほうが活着が早い気もしますが、どうなるでしょうか?
この結果を見ると、紙ポットでの育苗が優勢ですね。年々高くなっている育苗用培土の価格やポット代も考慮して検討していきます。
8月からハウスと苗床を契約し、就農の準備に取りかかる
部会と役場の尽力もあり、早々にハウスと苗床が決定しました。これもいちご塾生としての特権ですね。他地域で就農しようとしても農地の確保や新しくハウスを建てるハードルも高く、なかなか進まないと思います。非常にありがたいです。
↑まずは一反(10アール)からのスタートです。
草刈りしても、雨が降ればすぐにボーボーに
ハウスは4年ほど使用されておらず、草丈は僕の身長(166cm)にも達するほど。
管理機で直接耕耘しようと試みましたが、草が伸びすぎてロータリーに絡みついて耕せません。刈り払い機で短くして再度試みましたが、乾燥しきっていれば大丈夫なのでしょうが生草なので砕けず、やはり管理機のみでは困難でした。
↑草が集まるだけで全く耕せません
近くの段々畑の草刈りを実施する見返りとしてそこへ草を捨てる交渉を所有者と行い一旦草を集め、軽トラで移動させることにしました。ハウスは3連棟が2つあるのですが、1棟で軽トラ2杯分の草が出ます。これだけの草が乾燥するまで待っていると、せっかく刈ったのに次がまた伸びてきてしまいますね。
↑これが1回分。12回運びました。
草がなくなれば耕耘再開
あれだけ絡みついていた草がなくなってしまえばこっちのものです。管理機でガンガン耕していきます。
↑2期生にも管理機を操作する経験を積んでもらいます。
あれだけ固かった土壌がふかふかになってきました。ある程度土が馴染むと、次は土壌診断の準備です。今の土壌がどのような状況かをしっかりと把握した上で肥料や土壌改良材を施行していきます。
↑スッキリしましたね!
ようやく彼岸花が満開に
年々彼岸花の開花が遅くなっているようにも感じますが、今年も道ばたや田んぼの畦などに咲き出してきましたね。この秋の気温変化はどのようになるでしょうか?良い実がとれるように推移していってくれるといいのですが。
総集編にその他の記事もあるので是非ご参照ください。
総集編 https://www.vill.sanagochi.lg.jp/docs/2023052300025/
↑焼き芋できそうな量ですね。
お問い合わせ
佐那河内村役場 産業環境課
TEL:088-679-2115