佐那のいちご塾第1期生の村生活だより Vol.5 苗の定植はじまりました

公開日 2023年09月25日

更新日 2024年02月28日

ウルトラマラソンを走ってきたいちご塾1期生の中村です。

 9月24日(日)に山口県美祢市であったたMine秋吉台ジオパークウルトラマラソンという100kmを走る大会に出場し、今は全身筋肉痛と関節痛で記事を作成しています。来年が第一回目の本開催ということで、今年はプレ大会という、いわば試運転のような大会でした。市街地や普段入ることが出来ない宇部にある大規模のセメント資材の露天掘り現場秋吉台まで登り、草原を駆け抜けたりと100kmの設定の中で非常に起伏に富んだコースでした。制限時間14時間と割とタイトなレースでしたが、最初は順調に走れたものの日中の気温が高く、常に陽があたるような環境で大量の発汗による水分補給の難しさ、膝・足首痛に足裏のマメが裂けたりと非常に難しいレースで、82kmの関門通過後は身体の状況も考え、途中リタイアを選択しました。フルマラソンや40kmまでのトレイルランは経験していますが、ウルトラマラソンはまた別物ですね。50km走り終えて、ようやく半分がきた、と思えるのですから。

いよいよイチゴの小苗の定植の時期がやってきました。

 当地では小苗を8月中~下旬に冷蔵庫に入れて花芽分化を促進させる株冷を実施しています。
 8月後半から9月前半は苗の定植に向けて、ハウス内の畝立てやイチゴの小苗を冷蔵庫に移動して冷やす株冷の準備で忙しく過ごしました。家庭菜園の広さであれば鍬などで畝立てが出来ますが、奥行き数十mはあるハウス内の畝立てはそうはいきませんので畝立て機の出番となります。4月から農業研修を始め、今まで使ったことがない機械に触れることが非常に多くなりました。まずは畝を立てるための目印として土壌に石灰で線を引き、機械の操作方法や畝立てのコツを教わりながら何度かハウス内を往復することによってまっすぐできれいな畝が立ちます。スッと一直線にのびる畝を見ると、何だかわからない達成感のようなものを感じました。

苗も立派に育ったなー。

 株冷の準備では小苗を一旦ポットから引き抜き、コンテナに移動して篤農家所有の冷蔵庫に移動させます。農家によってはポットに入れたまま冷やすところもあり、農家のスタイルによって違うそうです。ランナーを這わせていた頃が考えられないくらい根がびっしりです!

 ちなみに、ランナーから株分けしていくときはポットの中心ではなく、やや端に近いところにとっていきます。こうすると根が伸びてきた際に写真のようにポット土の端にびっしりと根が張り、定植したあとにほ場の土と根が接しやすく根の活着が早くスムーズになるそうです。定植後はいかに早く根の活着を促すかが大事!ということですね。

いよいよ定植です!

 冷蔵庫から出してすぐの小苗はこのようにやや黄色っぽい状態です。冷蔵庫内は明かりもなく、光合成が出来ないから葉に色が乗らないんですね。

 でも、定植後はこのように青々とし、新葉も色づいて立派になってきています。今でこそ自己所有の冷蔵庫や夜冷ハウス、JAの冷蔵倉庫へ移動させているようですが、昔は大川原高原のほうに苗を山上げさせていたと聞きました。大変ですよね。

 

苗を冷やすってどういうこと?

 「なぜイチゴの小苗を冷蔵庫等に移して冷やす必要があるのか?」

  「そのまま植えてもいいんじゃないか?」と思われた方もいるのではないでしょうか?
 イチゴというのは「低温短日」という条件のもと、「花芽分化」という現象が発生します。他の野菜でもそうですが、ある一定条件をクリアすることによって、食べられる実や体の準備が出来るようになるのです。イチゴはその条件として「低い温度」「短い日照時間」が果実をつくるのに大きく影響します。

株冷せずにそのまま植えてももちろん育ちますよ。

 小苗をハウス内に定植しても、季節がすすんで「低温短日」の条件になれば実をつけることは可能です。しかしながら初収穫・出荷の時期が大きく遅れてしまうんですね。スーパーなどでイチゴが安く、数が出てくる時期はイチゴ狩り等が始まる2月以降ではないかと思いますが、イチゴの価格が高いのはいつ頃だと思いますか?子どもも大人も好きな方が多いと思われるクリスマスの時期くらいから年末にかけてがやはりイチゴの価格が非常に高いのです。なのでその時期に収穫・出荷が出来て収入が増やせるように株冷という技術を用い、収穫時期を見据えて定植へとこぎつけるわけです。

じゃあ、どのくらいの期間冷やせばいいんだろうか?

 だいたいの冷やす期間の目安はあるようですが、あくまでも目安でしかありません。2週間冷やしたから花芽分化は大丈夫、なんてことはなく、勘に頼って定植して失敗した、という話も聞きます。じゃあ、どうやって確認するのか。「花芽検鏡」という技術があり、各農家が無作為に選んで持ってきた苗を専門知識・技術を持つスタッフが顕微鏡を覗いてクラウンを剥き、花芽が出来ているかを実際に確認していくのです。

↑赤〇の部分を検査します。肉眼ではまず確認できません!

 

 花芽分化にも段階があるので、その段階に応じて定植を開始していくわけですね。僕も覗いて資料を確認しつつ判定しましたが、いやー、難しい!!このような技術も今後じっくりと身に付けていきたいと思います。

 株冷の分は定植が完了しましたが、冷やしていない平地の小苗の定植は今年はいつ頃になるんでしょうかね?もう少し平均気温が下がってからかな?

総集編にその他の記事もあるので是非ご参照ください。

総集編 https://www.vill.sanagochi.lg.jp/docs/2023052300025/

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