佐那のいちご塾第1期生の村生活だより Vol.4 実は事務イスレーサー

公開日 2023年08月31日

更新日 2024年02月28日

地域おこし協力隊 佐那のいちご塾第1期生の中村です。

 早いものでもう8月が終わりますね。コロナの影響は少なからずあるものの、今年も徳島のお盆の風物詩である阿波踊りが開催されましたね。今年はお付き合いもあって、前の職場が企画する病院連で阿波踊りに参加しました。実に4年ぶりの演舞です。病院や施設に入院・入所されている方々は時節のイベントとは疎遠になりやすく、実際に自分達の踊りを毎年心待ちにしてくださっている人がたくさんいます。よしこののリズムにあわせて手拍子をしつつ瞳をキラキラさせているところを見ることが出来ると、踊り手冥利に尽きる瞬間です。

ハウス内の畝立ても完了しました。

 今年の夏も非常に暑く、急な大雨も何度も経験しました。研修先の子株たちは炭疽病等の発症予防のために高設で管理をしていますが強風には弱く、苗が大きくなると横風に負けて倒れてしまうので傷みが出ないか心配でした。だいたい1週間に1枚本葉が出ますが、定植まで5枚程度で管理するので多い分は摘葉する必要があります。摘葉の際もコツがあり、株元に傷をつけないように注意が必要なんですね。人間と同じで、傷口からウイルス等の侵入を防ぐ必要があるからです。5月に収穫・出荷を終え、ハウス内を一旦全て耕起し、発酵物を混ぜ込み夏の暑さや日光で土壌消毒を実施しました。早いものでもう定植の時期がやってきます。塾生の着任が4月からなので、いちごがどんどん色づくタイミングしか経験していません。子株の成長から定植、そしてハウスのビニル被覆と経験していくと、イチゴ農家になる準備や経験がしっかりと積んでいけてるな、と感じます。

今月号はいつもと違った話が盛りだくさん!

 さて、今月はイチゴだけではなく、普段あまり見る機会がないであろう競技に関して話をします。
みなさんはいす-1(イスワン)グランプリなるものをご存知でしょうか?世間一般に売っているキャスター付きの事務イスを使い、商店街内で1周200mのコースをつくり、3人1チームで2時間交代しながら走り続けて周回数を競い合うという耐久レースです。徳島にも、昔は人がいっぱい来て繁盛していたけど、今は郊外に出来たショッピングモール等の影響で人がまばらになってしまった商店街って結構ありますよね。そんなさびれてしまった商店街に人を呼び、賑わいを取り戻すきっかけづくりをしようと今から10年ほど前に京都府京田辺市で産声を上げました。YouTubeやインターネットで『いす-1』と検索すると、全国各地でのレース動画等を見ることが出来ます
 何を隠そう、僕もイスを使って走るイスリートの1人でして、はじまりの地である京都府京田辺市で開催されている年度最終戦はいす-1GP世界大会という位置づけです。その大会で2回優勝したことがあり、いすで走る競技の世界チャンピオン経験者ということになります。

ヘルメットや防具を着用し、基本的に後ろ向きで走ります!

これが自分たちが所持している事務イスです。これらを使って各地を転戦します。

史上初!競馬場内で事務イスレースの開催!

 今回はお盆明けの8月16日にJRA(日本中央競馬会)協賛のもと、いす-1GPでは初の試みとなる阪神競馬場内のパドックを走る個人戦で100m走の短距離レースに参戦してきました。耐久レースでは2時間走り続ける脚力だけでなく、チーム走ゆえ1人遅れをとってはいけないことへのプレッシャーや、強豪チームと2時間も競い続ける精神力が必要です。しかし今回は短距離の個人戦。純粋に脚力や体幹筋力、そして急カーブをいかに上手く走るかという操縦テクニックがものを言います。


 台風明けで天気は快晴、気温も高く汗が止まりません。50名を超えるエントリーの中、予選を100m18秒22でトップ通過し、16名の決勝トーナメントに進みました。

決勝トーナメントに進んだ16名はいずれも猛者達であり、全国各地のレースでも顔を合わせる常連達と戦いつつ、決勝までコマを進めました。

↑男女の決勝参加者です


 決勝の相手はいすで30mを駆け抜ける競技の世界記録保持者です。号砲とともに抜群のスタートダッシュを切ることが出来、先行してカーブへ。予選も含めると両名とも6本目のレースであり、相手選手は脚にきていたようです。カーブを抜けるともう一安心。先にゴールラインを駆け抜け、競馬場で史上初開催のいすG1宝塚記念で初優勝を飾ることが出来ました。

開催地によってもコースや参加者の熱量がまったく違う。

 今となっては毎年全国20箇所程度で開催されるようになりましたが、それぞれの地域でも特色が違います。1周200m程度で様々なコースを準備してきます。直線が長い、コーナーが多い、遠心力のかかる大きなカーブを入れてくる、道幅が広くて追い抜きやすい、逆もしかり、等。

下の画像は茨城県大洗市で開催されたレースのものです。大洗市にはガールズ&パンツァーといって、女子高生が戦車に乗って走るというアニメの聖地があります。そこでの開催では選手がコスプレをしたり、事務イスに規定内の装飾を施したりと思い思いの準備をしてから、楽しんでレースに参加される人が非常に多い大会です。

エナジードリンクで有名な『レッドブル』の冠大会では、大画面モニターが設置されているステージ上で選手紹介等も経験しました。東京のよみうりランドが会場でしたが、もの凄い数のお客さんでしたよ!

不思議な縁もあるものでして

 2017年に宮城県仙台市で開催されたレースには開催20周年おながわ秋刀魚収穫祭応援チームに呼んで頂き参戦してきました。

 この時の秋刀魚収穫祭は20周年記念ということもあり、10000尾の焼き秋刀魚、5000食の秋刀魚つみれ汁を無料提供するという太っ腹なイベントでした。

 東日本大震災を理学療法士の養成校時代に経験し、なにかしらの形で地域復興イベントに関わりたいという思いがまさかのイスレースで繋がったのです。レース後にイベント日にあわせて60kgのスダチを徳島から発送し、焼き秋刀魚に添えてご賞味いただきました。そしてその大量のスダチを安く譲って頂けたのが佐那河内村のスダチ農家さんなんです!6年の時を経て、まさか自分がその地に移住しているとは思いもしませんでした。いろいろなところで繋がっていくものなんですね。

実行委員会のスタッフからも、スダチを絞って秋刀魚を食べる試みは非常に好評だったとお聞きしました!

人がいっぱいいるところで真似してはダメですよ

 小学生のころ、学校の先生が使うキャスターイスに乗ってコロコロ動いていると先生に怒られた記憶がある人も少なからずいるのではないでしょうか?それを大の大人がしっかりとルールを作り、高校生から上は60~70歳くらいまでが一緒に走れるスポーツとして確立させたのがいす-1GPです。世の中にはこのような馬鹿げている、けれども真面目に走っている選手を見ると実はおもしろい競技があるんだよ、と皆さんにお示し出来たらと思い紹介しました。是非とも動画検索等を行ってみてくださいね。そして、どうぞこちらの世界へのお越しをお待ちしています。

総集編にその他の記事もあるので是非ご参照ください。

総集編 https://www.vill.sanagochi.lg.jp/docs/2023052300025/

 

お問い合わせ

佐那河内村役場 産業環境課

TEL:088-679-2115

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