村の場所 石積み職人が築いた石橋

公開日 2023年01月06日

村の場所 石積み職人が築いた石橋

佐那河内村の宮本地区、イチゴや田んぼ、かんきつ畑に囲まれた小川にひっそりと架かる石橋があります。橋の上を通るときは特に目立たない小さな橋ですが、少し視点を変えると村の歴史を垣間見ることができる珍しい橋です。そばの坂から川原に降りて下から石橋を見上げると、この橋が長く大きな4枚の岩と、それらを支える無数の岩によって造られているのが分かります。特に上部の4枚の岩と接している箇所にはサイズの大きな岩が絶妙のバランスで配置され、上を歩いても微動だにしない安定した構造になっています。

村の場所 石積み職人が築いた石橋

この橋が架けられたのは今から100年以上前。地元嵯峨地区の石積み職人であった中尾百太郎さん達によって造られたと言われています。岩の大きさや構造をじっくり観察すると、現在のような機械が無かった時代、人の手によって造られたとは思えないつくりに、当時の人々の知恵と力を感じ取ることができます。

村の場所 石積み職人が築いた石橋

この地域は嵯峨天一神社があり、今から100年ほど昔、お祭りのときに「かけ馬」と呼ばれる、馬にこの一帯を走らせる行事があり、この橋は馬のひづめが滑ったり引っ掛かりやすい難所だったことを、この橋のことを教えてくれた人のおばあさんが語ってくれたとのことです。

村の場所 石積み職人が築いた石橋

今も付近の農業を支える農道として利用される石橋。村にはもともとこのような橋がたくさんあったと言われています。この橋も過去に土砂が崩れたりなどのトラブルに見舞われ、修繕されたこともあったと言われていますが、100年を越え、現在も静かに存在しつづけています。