出夫(でぶ)の山道づくり

公開日 2022年09月10日

更新日 2022年09月26日

出夫の山道づくり

佐那河内村の山々には、非常に高い場所にある農地へ水を供給する、水源と呼ばれる場所が点在します。多くの水源は険しい山の上にあり、そこまでは車でたどり着けないことがほとんどです。そんな水源までの参道をコンクリートで舗装する整備活動が、地域の用水関係者によって結成された出夫(でぶ)という組織により、毎年行われています。今回取材させていただいた南林と呼ばれる地域の場合はさまざまな制限があり、1年で整備できる道は25mだそうです。これまで30年ほどの年月をかけて少しずつ整備を行い、残す距離は300~500mほどとのこと。簡単に計算しても完成までにあと10年以上は必要です。異なる年齢層5人ほどで、運び込まれたコンクリートを整える作業を行いました。出夫のみなさんは、「本職みたいにはいかんけど」と笑いながら素早く作業をこなしていました。村に住む人々は、自分たちの住む地域を守りたいという共通の想いを持ち、このようなインフラ整備や消防活動など、村を創る活動を自分たちの専業を越えてつづけてきました。20歳ほどの年齢差のある人々が親しく作業している様子から、この村の歴史がうかがえました。あと10年、15年先、若い人々が加わり、村の奥でひっそりと行われるこの大工事が完了することを願っています。