公開日 2020年10月16日
更新日 2020年10月19日
天皇に献上された上質なお米
佐那河内村では古くから山間部を開墾して棚田をつくり、稲作が行われてきました。県内でもトップクラスの品質の水と、赤土を含む粘土質の土壌で作られる棚田米は、かつて天皇に献上された歴史があり、今も周辺の地域から高い需要のある良質なお米です。同時に、年々つづいてきた棚田での稲作は、村の四季の風景を作り、水路や環境を維持する大切な要因となっています。ここでは村の棚田でつづけられる米作りをご紹介します。
水を張る棚田
佐那河内村の稲作の始まりは周辺の地域よりも少し遅く、4月後半から5月にかけて行われます。田に水が張られる時期にのみ見える、空の色を反射する棚田の風景は、非常に幻想的です。水田に運ばれる水の水源の多くは山中にあり、定期的に農家の人々によって掃除されています。
棚田の田植え
平地での四角く広い田んぼと違い、棚田はひとつひとつが曲がりくねり、面積も小さいため、田植え機が入れず、手押し式の小型田植え機や、手植えで田植えを行います。
緑に染まる村の田園
昼夜の温度差が高く、空気の澄んだ環境ですくすくと育つ稲は水田を覆い、谷の風が稲を優しく揺らす爽やかな景色をもたらしてくれます。ただし、若い稲は鳥獣の被害の危険性にさらされるため、農家の人々が電柵を張ったり、見回りなどをしてこまめな管理をして守られます。
稲刈り
佐那河内村の棚田の稲刈りは、他の地域よりも1~2カ月ほど遅く、9月から10月にかけて徐々に行われます。
家族総出で協力しながら複雑な地形での収穫をこなしていきます。
はざかけ(はぜかけ)
多くの家庭はお米の乾燥に乾燥機を使いますが、場所によっては昔ながらの「はざかけ」で稲を乾かす風景が見られます。一週間ほどかけて天日で乾かすこの方法は、稲のでんぷんが稲に蓄積され、うまみが増すと言われています。
秋の新米
収穫された新米は9月半ばから産直などで出回り始めます。豊かなうまみと村の歴史を含む上質な棚田米は、今までも、これからも、佐那河内村に欠かせない農産品です。