公開日 2013年02月14日
更新日 2020年12月02日
佐那河内村上幸田長願寺にある杉板の中央に竹の画あり、地震の時にできた破裂の疵がある。大きさは縦54.5cm、横158cmで額縁の厚さは4.5cmである。
書は岩本賛庵、安政の大地震により倒れた主君賀島家(蜂須賀家の家老で那賀郡で1万石の大名格)の大書院の破裂した板に、その当時の記録を掲げた珍しく貴重なものである。
【意訳】
安政元年(1854)11月5日に大地震が起こり、人家は次々に倒れた。大きな屋敷とて例外ではなかった。津波が来襲して、漁師や海人の家は流され海に沈したものが多かった。その上徳島城下や小松島の町は火事によって数千戸が消失した。復(岩本賛庵)はこれをおそれ、漢詩に書き留めた。この時に主君(蜂須賀家の家老賀島家)の邸の大書院も倒れた。主君の命令で、その破損した戸板で扁額を作ってその詩を書き、後世の人が忘れることのないよう廊下などに掲げた。
扁額中の竹画と疵(地震によるもの)はもとからのものである。